8月19

オーストラリア、シドニー日本人学校

日本の学校が夏休みに入り、「夢の掛け橋プロジェクト」もスローペースになるのを見込んで4月から打ち合わせを進めていた。「昨年は宇宙飛行士の毛利衛さんにお越しいただいたんですが・・・」とプレッシャーはあったものの、僕は「やった。」をスーツケースに詰め込んで、自転車世界一周中に訪れることができなかったオーストラリアに足を踏み入れた。

オーストラリアは冬。最低平均気温は8度、最高で18度。猛暑の日本から来るとフリースが必要な気候は嬉しくて仕方がない。これを言うとオーストラリア人は「ここには冬
が好きな人なんていないよ!」と返ってくる。

日本人学校はシティから車で一時間近く走った大自然の中。広大な敷地と新校舎の理想的な教育環境だ。児童・生徒数は約300人、日本人学級・国際学級がある珍しい学校である。

小学4年生以上と中学生が体育館に集まってくれた。前に立って顔を見ていると日本人だけでなくハーフの子、オーストラリアの子も混じっている。僕は自分が小学校の約3年半をフランスの日本人学校で過ごした経験を話した。「みんなのように人は違っているのが当たり前」「違いを認め合う」ということ、こうして海外で学校に通えるということは本当に貴重な体験で、日本の何倍も苦労している両親や日本の留守を守ってくれている親戚のおかげではじめて今が実現しているという「当たり前でない」ことなどにも気付いて欲しかった。もちろんオーストラリアと日本だけが世界ではないこと、自分で物事を判断すること、日本を縦断中に感じている日本の豊かさ、自分の土地に誇りを持つ大切さも伝えた。

後日、感想文をいただくと「“自転車で世界一周した男”というから、どんな大きな人かと思ったら、ぼくのお父さんとたいして変わらない方だったので、意外でした」というものから、「いつも食卓に座っていれば食事が必ず出てくると言う生活を当たり前に感じていた自分が恥ずかしい限りです」というもの、「私は音楽が好きなので、将来はそれを通して坂本さんのような活動をしていきたいと思う」「自分を信じることも大切だとおもいます。ぼくも坂本さんのように目標に向かってがんばれる人になりたいです」……と日本にいる子どもたちと何ら変わるところはない。そんなことがとても嬉しく感じられる。

講演後、教頭先生がカンガルーやコアラに会わせに連れて行ってくれた。カンガルーはピョンピョン跳ねまくる激しい動物かと思っていたが、意外におとなしく月並みだがとてもかわいかった!(笑) 「オーストラリアに来てカンガルーぐらい見なきゃ」とさりげなく気を遣ってくださる。今回は日程に余裕がないのでありがたい。

空港まで送っていただく途中、校長先生が夜空を指して南十字星を教えてくれた。改めて「自分は南半球に来ているんだ」と思った。本当に家族、会社、その他大勢の人のおかげで今、ここにいることができる。祖父母が元気でいてくれるおかげでここにいられる。

シドニーでお世話になった方々、拙著をお買い上げくださったみなさま、ここに書くことができませんでしたが、前人未到の南極大陸を目指した白瀬中尉がキャンプした港や彼が出航前にシドニー大学のデイビット教授に贈った命代わりの日本刀を見に案内してくれたトリシアさん、本当にありがとうございました。

シドニーには「88歳、8万キロを目指して」の著者、自転車冒険家スタン・ジャクソンさんがおられるのでお会いしたかったのだが、連絡がつかず実現しなかった。ABC理論を提唱する氏はこの春、日本を約900キロ走りに来ている恐るべき人物だ。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/7791/